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今年見た映画の中では、ダントツの迫力、というか映画史上ダントツかもしれないけど。。。153分もの上映時間中でも、これでもかと畳みかけてくる連続大破壊シーンと、お涙頂戴シーンのおかげで全然退屈しない。頭も空っぽになる。映画の王道という意味では、これ以上のものはないし、こういう映画はやっぱり必要だと思う。
でも、『アルマゲドン』とかそういう時代からすると、だんだんと人類は為す術なしで、ただ逃げ惑うという方向性のものが増えてきたのは、なんだろうね。時代性だろうか。
今回のトンデモ大災害でも、やっぱり某国主導で人類生存大作戦が行われるんだが、軍はお世辞にもお役にたっているととは言えないし(てか出て来たっけ?)、大統領は感傷に浸って早々にお仕事を放棄してまったりと、頼りない事この上ない。
また、奇跡的な強運を持ち合わせた主人公達は、人の迷惑や犠牲も全然顧みずに、次々と危機を脱していく。その癖、自分達がピンチの時は、感動的なセリフを躊躇もせずに言うもんだから、冷静になると白けてしまう。
というか、実はドラマチックでロマンティックなストーリーの中に、物語を傍観する視点がちゃんと埋め込まれている。特に終盤で、大災害を傍観しながら、寺の鐘を打ち鳴らすラマ僧は、このストーリーの中にあっては異質とでも呼べる存在で、個人的にはそのシーンがこの映画中で一番美しかったのではないかとさえ思う。
逃げ惑う人類達は、10億ユーロもする『ノアの箱船』のゴールドチケットを求め、そのノアの箱船プロジェクトも、種の保存という大義名分を背負っている。また、船内で起きる主人公の自己犠牲の精神も素晴らしいものだろう。
だが、そんな人類を透徹した視線で見送るラマ僧が何故か一番人間らしく、というか一番美しい人間に映る。この微妙な演出に気がつくか、気がつかないかで、実はこの映画の意味づけは大きく変わってくる。素直にラストを迎えるとこもままならない。
そういう意地悪な視点をエメリッヒが持ち出した事は、僕の記憶している限りではないので、少なくとも気がつく人は気がついてね!という程度に意図はあったんだろうと思う。
という様なちょっとだけスタンスが複雑な作品だが、エメリッヒのこれまでの大作『インデペンデンス・デイ』や『デイ・アフター・トゥモロー』を遙かに凌ぐ迫力とスケールは、流石という他はない。これだけのスケールの映画を作れるのは、他はあのマイケル・ベイくらいしか思い浮かばない。
是非劇場でその迫力を存分に堪能すべき映画。
それと、キャメロンの『アバター』の新しいトレーラーで、もっと見たい欲が掻き立てられてどうにもならんかった。早く来い来い!12/23。
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