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1Q84 BOOK 1 1Q84 BOOK 1
村上春樹

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1Q84 BOOK 2 1Q84 BOOK 2
村上春樹

新潮社 2009-05-29
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とりあえずの感想。

もう既に各所で話題になってますが、これは続編がある。てか、ないとね。。。と感じてしまう。
Book2では回収されない伏線が多いので。まあ、でもホントに出るか出ないか不明なので、
先読みしても仕方ないし、気長に待ちましょう。

村上春樹の作品を全部読んできた人であれば、いろいろ他作品とのつながりも感じるし、
そういうのを突き詰めていくのも面白い。

中心にあるのはやはりオウム事件。
物語上の宗教団体「さきがけ」のモチーフの一部がオウム真理教があるのは明らか。
(もちろんそれだけじゃないけど)、たしか地下鉄サリン事件は1995年で、
それに関して、村上春樹が書いたルポタージュである、
「アンダーグラウンド」(97年)と
「約束された場所で~underground2~」(98年)から大体10年経つ。

アンダーグラウンド (講談社文庫) アンダーグラウンド (講談社文庫)
村上 春樹

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約束された場所で―underground 2 (文春文庫) 約束された場所で―underground 2 (文春文庫)
村上 春樹

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村上春樹は、どこかで自分はものを考えるの時間がかかるタイプだと言っていた。また、何かをしっかり消化して物語りの形していくには10年くらいかかるとも言っていた。気がする。。。

もしそれを真に受ければ、ちょうど「1Q84」はその表現としてみることは出来る。

あと人称が完全に3人称になったのは印象的だった。「海辺のカフカ」でも人称に変化はあったけど、「1Q84」ではより明確になっている。そのせいか明らかに物語りとして視点(パースペクティブ)は広がりを見せている。描かれる世界は謎を秘めながらも魅力的だと感じさせる。

これだけ売れているのは、まあ驚きだけれど、作品を追うごとにより深く世界(自分自身の外)にコミットしていっている事と呼応して、村上春樹が開陳する世界のあり方に興味を示す人間は増えていっている。そういう側面は多分にあるだろう。

もちろん、「1Q84」は村上春樹の他の作品がそうであるように、何か明確な答えや主張があるわけではない。多分、多くの読者は物語を通して、自分自身の世界観を見つめ直せる何かを求めている。自分もそうだけど。で、そういうパワーという意味では、今村上春樹を上回る作家はいない気がする。

個人的に印象的だったは、終盤の天吾と天吾の父のエピソードだった。

村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチ

のエントリでも書いたが、エルサレム賞の受賞スピーチで亡くなった父について語っていた事を思い出した。父との関係性が物語の一つの大きな主題である事は明らかだ。

いまさら自分が勧めなくても、読みたい人は買っているだろうが、
今読むべき本であることは間違いないなし。
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世界のすべての七月 (文春文庫) 世界のすべての七月 (文春文庫)
Tim O’Brien 村上 春樹

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前回のエントリで取り上げたのだけど、文庫化されたよ。

5年も経ってこのタイミングで出すというのは、
やっぱ「1Q84」の効果に乗っかろうとしているとしか思えないけど、
まあ、文庫になるのは嬉しいのでよしとする。
ボロボロになるのと、絶版になるのを見越して2冊買った。
で、また読んでしまった。やっぱ良かった。

同時に、こんなんも文庫化

人生のちょっとした煩い (文春文庫) 人生のちょっとした煩い (文春文庫)
Grace Paley 村上 春樹

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誕生日の子どもたち (文春文庫) 誕生日の子どもたち (文春文庫)
Truman Capote 村上 春樹

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「人生のちょっとした煩い」は嵌ると、めちゃくちゃおもしろいけど、
癖がある。てか、ペイリーさん亡くなられたんですね。
ご冥福をお祈りします。

「誕生日の子どもたち」言わずと知れたカポーティの名作。
イノセンスですね。
併せて観たい映画↓

カポーティ コレクターズ・エディション [DVD] カポーティ コレクターズ・エディション [DVD]
ジェラルド・クラーク

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2007-03-16
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あと、ちょっと前にチャンドラーの新訳も出てた。

さよなら、愛しい人 さよなら、愛しい人
村上春樹

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これも切ないよい小説だった。
相変わらずマーロウは格好いいし、
前作の「ロング・グッドバイ」より、より世の中に対して斜めな感じが堪らない。
(旧訳の方は呼んでないので知らない)

あと、ジョー・ヒルという人(スティーヴィン・キングの息子だってさ)の

20世紀の幽霊たち (小学館文庫) 20世紀の幽霊たち (小学館文庫)
Joe Hill 白石 朗 安野 玲

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を読んだけど、これは篦棒におもしろかったです。
個人的にはアート君の話は泣けるんだけど、人に上手くその感動を伝える事が出来ない。。。

「1Q84」は面白かったんだけど、これはどう考えても続編がでる感じ。
全然回収されない複線が幾つもあったし、これに関しては改めてエントリを起す予定。

あと「1Q84」の読後には、

世界は村上春樹をどう読むか (文春文庫) 世界は村上春樹をどう読むか (文春文庫)
柴田 元幸 藤井 省三 四方田 犬彦

文藝春秋 2009-06-10
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がお勧め。パワーズの村上春樹観は、
「へぇ~」とか「ほぉ~」

別路線だと

二十歳の原点 [新装版] 二十歳の原点 [新装版]
高野悦子

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を読んだけど、これは痛ましい。
著者の鋭い感受性が、時代に呼応している感じが。。。
数十年前のベストセラーなんだってね。
「1Q84」と併せて読むと、いろいろ思うところが出てくる。

あと、局所的に散々話題になっていた

聖家族 聖家族
古川 日出男

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に随分前から着手しているんだけど、
分厚い上に読みにくい。というか読むのに体力を要するので、
遅々ととして進まない。。。まあ凄んごい小説ではある。

という非常に雑な感じの5月末~6月の読書の感想
てか仕事で読む技術書の割合が増えているからこんな感じになっちゃうんだよね。。。
まあ、技術書はそれで面白いからいいけどさ。。。なんだか。。。
世界のすべての七月 世界のすべての七月
ティム・オブライエン

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読み返すのは3度目。素晴らしい。感動的。

ティム・オブラインエンが描き出す群像劇。1969年に大学生であった人々の、2000年の同窓会が舞台。同窓会の話の合間に、個々の喪失の物語(人生) が挿入され、それぞれのキャラクターのバックグラウンドが明らかになるという構成。1つのエピソードが終わる度に、同窓会の出席者のメンタリティが1人づつ明らかになり、同窓生同士の喜劇としての掛け合いが、哀しみを帯びたものである事が見えてくるという仕掛け。いってみれば、アメリカ版団塊の世代の過去と現在といった内容。

基本的に同窓会から最後まで帰らない(過去の記憶に引きずられてる)人々が主人公なので、彼(彼女)らは、皆人生の落伍者といってもいい(もちろん、中には経済的は成功している人もいるし、一見私生活はハッピーである人もいるが、皆一様に精神的なトラブルを抱えているという意味で)。彼らは、その半生 (1969年~2000年)の中で、消耗し、疲弊し、自分自身の人生に対する行動規範(モラル)を失ってしまっている。それでも残された良心に頼ってもたつきながら、新たなモラルを打ちたてる為、自身の人生を告白し、そこに光明を見出そうとしている。

と書くと、なんだか相当に湿っぽい陰気な小説だと思われるだろうが、著者はこれらの物語をファルス(喜劇)として描いている。それが相対化の作用と、彼(彼女)らの試みをより悲壮なものにする作用をもって、この物語に深みを与えている。

訳者の村上春樹は、あとがきでこの様に書いている。

僕はオブライエンと同世代なので、読んでいて「うんうん、気持ちはわかるよ」というところはある。世代的共感。五十代半ばになってもなお行き惑、生き惑う心持ちが実感として理解できるわけだ。でも、たとえば今二十歳の読者がこの小説を読んで、どのような印象を持ち、感想を持つのか、僕にはわからない。「えー、うちのお父さんの歳の人って、まだこんなぐじぐじしたことやっているわけ?」と驚くのだろうか?

まあ確かにぐじぐじしてるようにも見える。団塊の世代とは、時代に対してNO!と叫んでいた世代である。で、それ以降、時代に対して誰もNO!とは言わなくなってしまった。でもって、そのぐじぐじは連綿と続いている。

行動規範(モラル)はどこかへ行ってしまい、それと共に彼らは行き惑い始める。。。各エピソードにはその生き惑いが良く表れている。同窓会のシーンが各エピソードの合間に必ずあるのは、行動規範(モラル)が学生時代にはあったからだ(まあそれが錯覚でも幻影でも何でも)

そのモラルの幻想に彼らは苦しみながら、以後の人生を歩み、そして、行き惑い、生き惑う。そして、今でもその幻影を解体し、再構築しようと試みている。きわめて個人的な、人生の記憶から、何とか新たなモラルを引っ張り出そうと苦しみもがいている。その様な主人公達の切実さが、非常に心を打つ。

でも、時代のコンテキストに、こういう物語を入れると、滑稽で、ぐじぐじしているだけに、確かに見える。作者だってそれが分かっているから、この物語は最後までファルス(喜劇)の体を崩さないのだ。

つまり、現代においては、行動規範(モラル)なんてもんを築いて、それを後生大事に抱えて生きるなんて、ダサイくてやってらんないよ。という事になってしまったのだ。ご存じの様に。あるのは、情熱を持つ事を避けて、人生を知的なゲームとして捉える様々なバリエーションだけだ。思想なんでもんは死んで、人生を上手く現実的に生きるHowToの方が重宝がられる。でもそれももう限界で、そんなゲームに疲れた落伍者は沢山出ている。その例証を示すと話が逸れちゃうので割愛。

そうやって一巡りして、このファルス(喜劇)が成立する訳だ。滑稽でありながら哀しい、行動規範(モラル)に対する彼ら渇望が、妙に心を打つのは、人生というリアルへの渇望が今や当たり前になってしまったでもあるからだろう。

だから別に、ぐじぐじなんて思わないし、むしろそっからじゃないと嘘だろ思う。オブライエンの書く物語はそういう意味でとても誠実だし、個人的にはその誠実さを好む。



村上春樹が一番聞き込んだ曲。(どこで読んだか/聞いたかは忘れた。。。)

でも、とても良いですね。これは。
Jazzはそんな聞かないけどね。。。

なんとなく、心温めたり、慰めたりってのはJazzの領分なんだろうか。。。と思う。

FORESTS FOREVER

あああ、
お気に入りのサイトだったのに。

確かに金かかってたからね。
しょっぱい。。。。。。。。。。

ぶっちゃけ、不況とかどうでもいいけど、
こういう良いものが無くなるのが一番がっくりくる。
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