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ふわふわ (講談社文庫) ふわふわ (講談社文庫)
村上 春樹

講談社 2001-12
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こないだ実家の猫が死んだ。

小学校4年の時から飼ってた猫なので、17年も生きた計算になる。これは猫にしては大往生だと思う。正月に実家に帰った時には、もうかなり弱っていて体重も全盛期(まあデブだった)の半分って感じだったし、そろそろかなぁと思い一応最後のお別れはしといたけれども。

うちはオカンが猫好きなので、子供の頃から家に猫はいた。↑こいつを含めると三匹飼った事になる。

一匹目は生きていればたぶん2歳ぐらい年上になる。物心つかない子供の頃にさんざんいじめておもちゃにしたようで(ひどい奴だ)、確か全然なついてはくれなかった。それでも小学校2年の時に死んだ時は、悲しくて授業中に涙が止まらなくなって、保健室に連行され、早退させられた記憶は鮮明に残ってるから、大好きだった事は間違いない。と思う。2匹目はたぶんその次の年くらいに貰われきたが、こいつは犬みたいな性格だった事が災いして、猫としては非モテだった。当然我が家でも非モテだった。その次の年に、その非モテの子供らしい(猫的にも非モテだったと思うんだけど、どういう訳か。。。)という事で瀕死のところを保護されたのが三匹めの猫である。さすがに僕も大人になっていたので、この猫とは割と良好な関係を築く事ができた。

村上春樹じゃないけど、うちは兄姉の年が離れたいたので、どちらかと言うと一人っ子に近く、猫と過ごす時間は結構あったと思う。たまには、一緒に布団で寝たりもしたし、冬はこたつに入ってると膝の上に登ってきたりした。

「ふわふわ」の中には

ずいぶん多くのことをいのちあるものにとってひとしく大事なことを、猫から学んだ。幸せとは温かく柔らかいことであり、それはどこまでいっても、変わることはないんだというようなことを

なんて書いてあるが、確かに猫から学ぶべき所はある。結構たくさんある。死について、身をもって教えてくれたのも猫だった訳だし。また、猫がもっている行動規範というのは、かなり見習うべきところがある。というか大抵の大人よりも見習うべき所が多い。

もう大人なので、猫が死んだくらいで会社も休まないし、保健室にも連行されないけど、やはり猫が死ぬといろいろと想う。ニャー

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派手さはない。能動的に鑑賞することを要求される映画。

ハリウッド的なドラマツルギーに慣れていると鑑賞するのはちょっとキツイかもしれない。「28歳の革命」の方は主にキューバ革命が成功するまで、「39歳別れの手紙」はボリビアでのゲリラ戦から政府軍に捕まり処刑されるまでが描かれている。共に、徹底したリアリズム志向、ドキュメンタリーに近い作りが全編を通して貫かれている。チェ・ゲバラのや歴史的背景に関する詳しい説明は殆どないので、予備知識を持って見ると良し。

チェ・ゲバラ - Wikipedia

今の時代、この状況下で、何故ソダーバーグ監督は、チェ・ゲバラを扱った映画を撮ったのか?そしてゲバラをどういう人間として描いたのか?当然、その辺に焦点を絞って鑑賞する事になる。というか、そうやって観ないと面白くない映画である。

「39歳別れの手紙」の終盤。政府軍に捕まり監禁されたゲバラが、監視役の兵士に「何を信じているんだ?」問われ、「俺は人間を信じている」と答えたのがとても印象的だった。これはゲバラという人間の魅力を読み解くキーとなるようなエピソード。

作中、ゲバラの思想は殆ど語られない。思想家としてのゲバラを現代に描くことの意味は確かにないと思う。ゲバラの思想の善し悪しも確かにあるだろうけど、ジョン・レノンが「世界で一番格好いい男」と言い、サルトルが「20世紀で最も完璧な人間」と評しているのはその思想とは全然関係ない地点だろう。ゲバラが20世紀最大のカリスマと呼ばれるのは、その人間性の魅力故であり、それに比べればその思想は重要な位置を占めない。

劇中のゲバラは、ルールに厳しい人間であると同時に、他人に対する優しさを片時も忘れない人物として描かれる。農民の食料を失敬すれば、ちゃんとお金を置いて行く。同志が死んだ政府軍の車を盗めば、返してこいと言う。同志が傷ついていれば、たとえ敵がすぐそこに迫っているとしても、絶対に見捨てない。そういう幾つかのエピソードから導き出されるゲバラの行動原理は、確かに今の時代にも意味をもつ。

今の時代の行動原理は、とりあえずは資本主義という事になるだろう。つまりは金が多くの局面で人の行動を左右するインセンティブになっている。で、昨年のリーマンショックに始まる一連の経済危機がある。それは、金儲けって事ばかりで世の中動いてくとやっぱりロクな事にならんという証明であると、僕は今のところ考えている。まあ当然といえば当然の話なんだけど、株式会社という資本主義の実存である所に勤めていれば、それが見えなくってもそんなに不思議ではない。現に一流大学を出た頭の良い人間が、貧乏人で金儲けをするという、小学生でもちょっと考えれば失敗すると分かるような事をやってしまう。みんながやっていれば、それがどんなに不合理な事であっても、簡単に信じてしまう。人間にはそういう弱さがある。

映画の話にもどる。

貧しい農民が搾取され続けている事にどうしても我慢ができなかった。ただそれだけの事がゲバラの信念、行動原理の基になっている訳だが、それは上で述べた様な資本主義という行動原理よりは幾分上等にみえる。そして、その行動原理を実践する事は、資本主義の行動原理で生きるより遙かに難しい。

もちろん、ゲバラにだって人間の弱さは分かっていたし、革命とはその弱い人間に、強くなる事を強いる行為だという事も分かっていただろう。その困難を痛切に感じていただろう。それでも、やはり「人間を信じる」。そういうゲバラの強さは確かにこの作品に描かれている。

「39歳別れの手紙」の劇中、ゲリラ軍が政府軍に徐々に追い込まれる中、ゲバラが、「革命家とはもっとも尊い種類の人間である」と同志を鼓舞するシーンがあるが、「それは人間の弱さを理解した上でも、人間の強さを信じる事が出来る人間であるからだ」と勝手に個人的な補注を付けたい。少なくともスクリーン中のゲバラの目はそう語っているように僕には感じられた。

米作家ジョン・アップダイクさん死去 写真2枚 国際ニュース : AFPBB News
ピュリツァー賞の米作家、ジョンアップダイク氏死去

と言っても、新潮文庫の「同じ一つのドア」しか読んだことないんだけね。
この短編集はけっこう良かった記憶がある。読み返してみよう。

少し前はカート・ヴォネガット・ジュニアが亡くなったし、
その世代の作家達が寿命を迎えているという事か。。。

全然何の根拠もないんだけれど、時代が一回りしている気がしないでもない。



この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ) (よりみちパン!セ) この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ) (よりみちパン!セ)
西原理恵子

理論社 2008-12-11
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年末に読んだサイバラ本。

カネのことばかり考えて生きるのはつまらんけど、
カネのことを考えない人生ってやっぱどっか地に足がつかない。
カネの話ってあんまりしたくはないけれど、
カネの話がすべてであることって意外と多い。

カネとちゃんと向き合えないと、人はちゃんと大人にはなれない。と思う。
これは社会人になってからの実感。

著者の半生が「カネ」をという切り口で語られている。

印象に残る言葉は幾つもあった。
  • 「働くことが出来る」「働ける場所がある」って言うことが、本当の意味で、人を貧しさから救うんだと思う
  • 「どうしたら夢が叶うか」って考えると、全部あきらめてしまいそうになる。「どうしたらそれで稼げるか」って考えれば、必ず、次の一手が見えてくる
  • 肝心なのは、トップと自分の順位を比べて卑屈になることじゃない。最下位でも出来ることを探すこと
  • どんなときでも、働くこと、働き続けることが「希望」になる。人が人であることを止めないために、人は働く
とてもよい本。よみやすい。

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久しぶりの映画エントリ。

おくりびと。

モントリオール世界映画際でグランプリを受賞した事で話題の様でだが、非常に良い映画だった。素直にいい映画と言える部類のいい映画。深読みなし。

プロのチェロ奏者を目指していた主人公の小林大悟(本木雅弘)だが、ある日突然、所属していたオーケストラが解散。大悟は、自分の才能の限界に見切りを付け、妻の美香(広末涼子)と実家の山形に帰る事に。そこで新たな職を探す大悟だったが、「旅のお手伝い」という文句と高給に惹かれ面接に向かった会社の業務内容は、納棺だった・・・。

オープニングは、納棺の儀式がいきなり流れる訳だが、まず観客の心をぐっと掴むという意味でこれは素晴らし演出だった。僕は、祖母と祖父で2回葬儀を経験しているけど、こんな納棺の儀式はなかった。どうやら作中のは古式納棺の儀と呼ばれるものらしくて、通常遺体の処置(湯灌)は病院などで行ってしまう模様。現代日本ではそういう部分もちゃんとシステム化しているという事か。どうりで見たことない訳だ。当然、観客の多くもこんな儀式は見たことないわけで、これは新鮮に写る。しかも、その儀式が何とも美しい・・・。

こういう儀式を見てハッとすると、一応僕も日本人で、日本古来の死生観みたいなもん持っているんだな~と思わされたりする。

観ながら思い出したのは、阿弥陀さまの五色の糸。これは小林秀雄の「私の人生観」(「栗の木」 講談社文芸文庫 所収)というエッセイにちょろっと出てくる。ちょっと引用。

今日でも、死人は北枕に寝かすという風習はあるが、当時の人(※1000年位前)は、臨終の覚悟をする為に北枕して寝たのです。顔を西の方に向け、阿弥陀様の像を安置して、阿弥陀様の左の手に五色の糸をかけ、その端を握って浄土の観を修したのである。

情景を思い浮かべるだけでも、かなり文学的に美しいですね。これは。

この映画とは直接関係ない話ではあるけれども、死に際しての儀式には、美しいと感じさせる様なものが昔はもっと沢山あったのかもしれない。現代の葬儀が、そのうちどれだけ引き継いでいるかのは知らんけれども。

また、こういう日本人の美しい死生観を描いた映画が、海外で高い評価を受けるって事の意味を考えると文化って言葉の意味も肉付け出来る気がするね。

もう一つ、この映画で素晴らしかったのは、初めての遺体(死後二週間経過の腐乱死体)を扱って、そのショックで狼狽えて自信をなくした主人公が、実家の押し入れから子供時代に使っていたチェロを引っ張りだしてきて弾くシーン。自分の音楽では人を喜ばす事は出来なかったけど、自分を慰める為には音楽を奏でる事は出来るって素敵ですね。

とにかく良い映画です。オススメ。

追記:
内容的には湿っぽそうな映画だけど、山崎努と本木雅弘の掛け合いがコミカルで、劇場は終始笑いが絶えない感じだった。こういう雰囲気 醸し出せるのは山崎努という俳優の人徳。それと、美しい死生観だけじゃなくて、ちゃんと「穢れ」みたいな問題をも扱ってます。職業差別に関する描写は、 田舎という事を鑑みても、ちょっとやり過ぎだけど、まあ。

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