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[書評]毎月新聞(佐藤雅彦): 極東ブログ

ちょっと前に、finalvent氏が取り上げていて、抜粋だけでもとても面白そうだったので購入した。

確かに読みやすく、含蓄があるエッセイだった。文体はとても素直で読みやすい。スラスラとページをめくる事が出来る。また、話も独自の捻りが少し効いているという感じで、肩肘ばったところがないのがいい。

個人的に好きなのは『オレンジの皮』。こんな風に、日常の些細なことから立ち上がってくる感覚というはとても素敵だなぁ~と思う。

また、『三角形の内角の和が180°であることの強引な証明』とかも好きだ。この人の表現の根本にあるバランス感覚はいいなぁと思う。

でも、一番素敵なエッセイは、やはり、『真夏の葬儀』だ。

佐藤雅彦氏は、伊豆の小さな漁村で幼少時代を過ごしたようだが、この人の感性の原点は、子供時代に培われてるのだろうと思わせるような、故郷、あるいは母への想いというのは本書の随所に見える。

そこでとりおこなわれる昔ながらの田舎の葬儀の情景描写は、人の想いというものの受け止め方について、なんともいいようもない美しさと哀しさを讃えているように見える。

一体、想い半ばにして、この世を去ってしまった人の想いというのは何処へいってしまうのだろうか?彼らの果たされなかった想いは何処へ行くのだろう?

答えを簡単だ。それを知る生きている者が引き受けているのだ。知る事はさほど難しくないが、それを引き受ける事は想像を絶して難しい。でもそれは、残されたもの達が生きる殆ど唯一の理由だと思えたりする。

このエッセイでは、漁船の汽笛という形で、死者とのこされた者たちが響き合っている。なんとも簡潔にして、美しい情景だ。そんな風にして、死者が本当悼まれている。

『真夏の葬儀』だけでも、このエッセイを読んで良かったな思う、底知れない名文だった。素晴らしすぎて言葉が出なくなった。
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実は今年から、会社で新人教育を担当する事になって、新入社員にプログラミングをなるものを教える事になった。といっても、やったのは6月くらいだから、もう終わったけどね。

一応ものを教えるので「先生」という事になるわけだけど、大学では教職もとってなかったので、教育実習とかしてないし、塾講とかのバイトもしなかったので、何かを誰かに教えるという事をしたことがない。

で、いったい何を教えればいいんだろうと小一時間くらい悩んだ訳だけど、これはやっぱりプログラミングって面白いね。という事を教えるしかないという単純な結論に達した。

会社の集合研修は、学校の授業と違って、時間が限られる上に、その限られた時間にめいっぱいの情報量をたたき込むというものだが、実際の所、それで新入社員達のスキルが飛躍的に向上するという事は、ない。一時的に詰め込んで暗記は出来るが、そんなもんは研修が終われば消えてしまう。あたりまえだ。

プログラミングとは、そもそもがクリエイティブなのもので、一朝一夕に身につける事が出来るようなもんじゃないし、ゴールはない。沢山のコードを読み書きしたり、本を読んだりしながら、少しずつ良いコードが書けるようになっていくもんで、例外は知らない。

もちろん、知識の詰め込みも大切であるんだけど(それで開けるものもあるし)、プログラミングって面白いと思わせないと、やぱっり後が続かない。

随分前だけど、TVで地震の仕組みかなんかを説明してる学者先生がいて(多分どっかの大学教授だろう)、その先生は「マントル」と口にする度楽しそうにしゃべっていた。「マントル」という響きからは、好きで好きでしょうがないという感じが出ていた。

また、最近読んだこんなエントリが面白かった。

廃人オナニート日記 - 坂間勇


僕は駿台生ではないので、この坂間先生の事は知らないが、きっと本当に物理が好きで学ぶ事が楽しくて仕方がなかったのだろう。そして、予備校講師であるからには、やっぱりそのおもしろさを、一人でも多くの学生に伝えたかったのだろう。

常々思っているのだけど、人に何かの面白さを伝えるには、自分が楽しんでいる後ろ姿を見せるしかないだろうと思っている。それを見て、『へぇ~』で終わる人もいるけど、『ほぉ~』と興味を持って、自分で突き進んでいく人もいる。で、多分後者みたいになる人を作るのが教育ではないかなぁと思う。

人に何かを教えるなんておこがましい事は、本来はできなくて、何かのきっかけを与えるのが精一杯だろうと思う。それには、まず自分が面白いと思う気持ちを伝えなければならない。自分がつまらないと思っているものを、聞いている人間が面白いと思ってくれる訳はないからだ。

だから、プログラミングの研修では、プログラミングのど素人の新入社員(もちろんそうじゃないのもいるけど)に、制御の構造化とか、関数型プログラミングとか、再帰構造とか、バイナリサーチとか、クロージャ等々、プログラマーとして多少はやってきた自分でもちょっと面白いなコレと思うものを大量に詰め込んでテキストを作って与えてしまった。。。たった10日間の講座でやるには、相当無茶な内容にした。はっきり言って難しかったのではないかと思う。自分でもテキスト作るために、結構勉強もした。

本当に面白い事というのは、大抵の場合難しい。というか、絶対に難しい。というか、難しいから面白いのだ。簡単で面白い事なんて、少なくとも僕は知らない。だから、あえて基礎を手短に説明したら、一気に難しい所に突っ込んだ。はっきり言って、この際、新入社員達が理解するしないは二の次だ!という開き直りスタンスだ。

でも、結構な数の新入社員達が『プログラミングって結構面白いですね。』と講座中や講座が終わった後に言ってくれた。お世辞かもしれないけど、これはちょっと嬉しかった。少なくとも、みんな、『XXXXさんてプログラミング好きなんですね』とは、思っていたようだ。だから、大した後ろ姿ではないけど、何かは見せることは出来たのかもしれない。彼らのうちの何人でも構わないから、素晴らしいエンジニアを目指して突き進んでくれるといいなぁ、と思う。

思えば、自分も会社に入ってから、プログラミングを始めたど素人なので(今も素人に毛が生えた程度だけど)、最初は全然プログラミングなんて興味無かった。でも、デザパタの意味とか分かり初めてからは、いろいろと面白くなって、今では結構コード書くのは楽しい。最近はやっぱ関数型言語が面白い。もちろん仕事だからそうじゃない時もあるけど、たまには時間を忘れてコード書いている時はある。

というわけで、初めての教育だったがいろいろ思うところあり、なかなかこちらも勉強させてもらった。たぶん、教育で一番成長するのは、教わる側じゃなくて、教える側ですね。
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海獣の子供』が篦棒に面白いので、他はどんなの書いてんのかなぁと思って手を出してみた。系統は同じだけと、やっぱこの独自の世界観は人を魅了するものを持っている。

海獣の子供』も『魔女』もそうだけど、この人は言葉の作家じゃなくて、画の作家だ。その事は作中のキャラクターの言葉を通しても語られるし、圧倒的な画力やレイアウトの力で迫ってくるものが多い。言葉を信用していない訳じゃないけど、言葉では決して世界の神髄を説明しようとはしない。大事なシーンには、いつも言葉はなく、画がある。

多分、漫画でなければ、こういう世界観はけっこう沢山あるとは思う。ただし、それは言葉で説明的に記述されたものが多い。その世界観(感)を生に描こうとする試みはあまりみない。

端的に言えば、この人はvisionを持っているのだろう。それは、禅の画僧に近いものがある気もする。彼らは徹底的に画力を鍛え上げ、それがそのまま観法へと通じるところまで修行を積む。それがすなわち、仏教の世界では悟りと呼ばれるもの、つまり実際にvisionとして見えてくるまで。もちろん、五十嵐大介氏は漫画家であるからストーリーテラーではあるが、その語りは明らかに、法話に近い気がしてならない。

禅の公案とかはまさにそうだが、言葉自身を疑う為のものでもある。この『魔女』でも語られる様に、言葉は世界を分節してしまう。何かに名を与えることは、必ず意味という単位で世界を分断する行為であるという側面を持っている。もちろんそんな事はちょろっと勉強すれば分かることで、それは世界の理解の仕方としては、常に片手落ちになる。詩人は言葉を扱いながらも、その事を徹底して意識し、世界をそのまま語る言葉を記述しようと努力する(つまり本来の分節された意味の境界を変更を迫る言葉を紡ぐ)人達の事だし、画家は画において、音楽家は音楽において、visionを持って世界を観している訳だ。

で、五十嵐大介氏の漫画にも、そういうvisionを強く感じる。多分この人は本気で世界そのものを描こうとしようとしている部分がかなりあるだろうと思う。自分自身のvisionを紙に焼き付けようとしている。そういう情熱をものすごく感じる。

特に、言葉の世界で充足し、溺れざるを得ない現代人には凄く衝撃的で素敵なvisionを与えてくれる。『ほら、これが世界だよ、ほら』 と言っているような怖さと魅力をこの作家の作品は備えている。
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これは便利。

仕事がら本を抑える事は結構多いし、ブログで本の引用とかする事も結構ある。そういう時は、たいていパソコンの下に挟んだり、折り目を強めにつけたりしてたけど、バラバラッとめくれるたりするとイライラする。

もうちょっと本格的なブックストッパーも使ったことあるけど、嵩張るし、本のサイズや暑さが限定されるものが多い。もちろん、本を立てたまま留めれるのは便利だけど。

このブックストッパーは極めてシンプルで、嵩張らないし、本のサイズも限定されない。ちょっと使っただけだけど、非常に便利だ。

卒論とかで参考文献の山に埋もれている学生とかにも役立つだろうと思う。値段もリーズナブルなので二つくらい買っておくと、本の両端が挟めて更に便利。
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1981/06/22
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