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『1Q84』読み終わってから、ずっと読み返そう読み返そうと思っていたので読み返した。
したら、タイムリーにこんな記事。

村上春樹氏:「1Q84」を語る 「来夏めどに第3部」

ああ、やっぱりBook3でるんですね。

で、『アンダーグラウンド』だけど、これは実際に社会に出て働いている人間じゃないと分からないと思った。皮膚感覚として。学生の時に読んだ印象と全然ちがった。

事件当日の話はまあいろいろと思うけど、何よりもそれぞれの被害者の方の生きてこられたプロセスのリアリティを感じて、何とも堪らない気持ちになると同時に、非常に勇気を貰えた。

ああ、市井の人はそういう思いを抱えて生きているんだなぁ。という何とも言えない感慨を得た。別にみんなたいそうな志をもっている訳ではない。ただ、良心があって、守りたい人がいて、ちいさな自分の想いを守ろうとしている。いろいろな人がいるし、全員が善き人でもない。あたりまえだけど、オウムも善人を狙ってサリンを撒いた訳じゃないので。

ただ、そういう状況で、人のそういう善き側面が現出しただけの事にすぎないけれど、同時に社会というものの脆さが露呈している。社会が駄目であっても、個人は個人のナレッジの中で治癒しようとしている。そういう人間の底力というかタフさというのは、本書の至るところで何度も何度も感じた。こうなってくると社会が間違っているなんて一概に言えなくなってきて、だって、社会の構成員がこんなにもタフなわけだから。そういう意味では、これは日本人というものを良く表現した本でもあるかもしれない。

ともかく、人々の人生の混沌がそのまま放り出されている様な内容で、善悪とかそういう二元論を超えた強烈なダイナミズムが現出している。そして、社会の自浄能力ともでいうのだろうか?そういうものをものすごく感じた。

じゃあ、今の社会のその自浄能力はどうなっているかっていうと、これはもうこの本を読んだ後ではわからないとしか言いようがない。。。

これは単なる地下鉄サリン事件の被害者の記録の書ではなく、人の総体として日本を活写した稀代のノンフィクション作品。未読の人は是非読んだ方がいい。
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